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江戸時代より受け継がれ、役者、裏方とも伊能地区に住む方々によって行われる成田市指定無形民俗文化財「伊能歌舞伎」が18日、成田市伊能の大須賀大神「春の例大祭」で、奉納上演されました。
舞台は蛍光灯照明、観客席はむしろ敷きではありながら、舞台下手の黒屏板囲いには、唄、三味線の囃子方が本格的に位置していました。今年の上演は「御所桜堀川夜討―弁慶上使」。武勇で知られる弁慶が、生涯でたった1度しか泣かなかったという伝説と、生涯に1度だけ女性と契ったという2つの伝説を取り入れた演目でした。
鎌倉殿(源頼朝)から義経の妻・卿の君の首を討つことを命ぜられた弁慶が来ると知った乳人太郎は、年恰好の似た腰元の信夫に身代わりになるよう白羽の矢を立てます。が、母・おわさは、「信夫を父親に会わせるまでは」と拒みます。18年前、契った男の振袖の片袖を唯一の手掛りに、信夫の父親を探しているというのです。そこへ独特の隈取り、舞台衣装の武蔵坊弁慶が登場します。おわさの話から自分に娘がいたことを立ち聞きした弁慶(写真)ですが、非情にも襖ごしに自分の愛娘・信夫を切り、半狂乱になったおわさに肩脱ぎになって赤い振り袖を見せます。おわさの探していた信夫の父親とは、当時の鬼若丸こと武蔵坊弁慶だったという筋書きです。
100人を超える観衆がこの信じがたい事実に胸を締め付けられ静まり返ります。間の取り方、見得の切り方、どこから見ても本物の歌舞伎です。大向うから絶妙のタイミングでかけ声がかけられ、芝居の雰囲気が一層盛り上がりました。半狂乱になり太郎に詰め寄るおわさ。愛娘・信夫の首を抱いて「三十余年の溜め涙」と、生涯一度、地響きのように号泣する弁慶。ここで幕が引かれました。
熱心に鑑賞していた若い女性は、「初めて見ましたけど、涙が出そうになりました」と感激を隠さず紅潮した顔で語ってくれました。また、ご家族の応援だという伊能2区の女性は、勤めの合間をぬって厳しいけいこを続けたご主人を思いやり、「練習は1月に入るとすぐなの。年番になった今年は、特に大変だったよ」と、厳しい練習の様子を話してくれました。
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