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07

8月

2011

アスリートとしての支援 菅野優太さんが岩手の中学生選手を指導

岩手県中学校総体会場で、陸上教室 岩手県中学校総体会場で、陸上教室

成田市在住の、陸上競技100m元日本代表・菅野優太さんが、日本ユニセフ協会の依頼を受けて、7月16日に岩手県中学校総合体育大会の開会式に出席しました。日本ユニセフ協会は、被災した岩手県沿岸地域の中学生が、他の地域の中学生と同じように全国大会を目指し、それまで積み上げてきた練習の成果を発揮するチャンスを平等に持てるよう、今年の岩手県総体を支援しました。菅野さんの訪問はその活動の一環です。
 「いろいろな人たちの支援が重なって、今回の県総体には被災した沿岸部の生徒たちも全員が参加できたそうです」と菅野さんはホッとした表情で話してくれました。しかし、選手の中には震災後4カ月以上経った今も体育館暮らしの生徒も多いという現実を知りました。「中学校も家も親の職場も全部流されて、こんな時に部活をやっている場合じゃないという大人の空気もあって、最近やっと練習できるようになったとか、遠くの学校まで練習に通っているとか…、コンディションを整えるどころじゃないですよね。記録も低調に終わっています。子どもたちが被害を被っている」と顔が曇りました。観客席には保護者の姿も少なかったといいます。「本当なら晴れ姿を見たいはずですよね。たくさんの来られない事情や自粛ムードがあるのだと思います…」。
 菅野さんは開会式後、沿岸部の中学校のテントを訪問しました。すると子どもたちから「どうしたら速くなりますか?」「僕はスタートが遅いんです。見てもらえませんか?」と積極的な質問攻めにあい、急きょ、即席の陸上教室を行うことに。全員が避難所暮らしという数人の中学生に教えていたところ、気がつくと、どんどん生徒が集まってきて70~80人にもなりました。「そんな状況の子どもたちが、あんな笑顔で走ることがすごい!と思いました」。先生方からも「どう教えたらいいか」と質問を受けました。菅野さんはこの経験で思ったといいます。「支援はお金や泥かきだけじゃないのでは。アスリートとして自分ができるボランティアは指導や一緒に走ることではないか」。
 陸上教室の間は、お互いに被災のことは忘れられ、子どもたちもはじける笑顔を見せてくれました。しかし一方で先生がこっそり教えてくれました。「何か支援のイベントがあった後、避難所に帰る段になると暗い表情になるんです」。菅野さんは悩みます。
 6月には、陸上選手の為末大さんが立ち上げた被災地支援プロジェクト『TEAM JAPAN』の一員として、福島県の相馬高校の生徒と交流しました。その時、沿岸部で見た光景にもショックを受けました。震災後3カ月も経つのに、ただ道路を車が走れるようにしてあるだけ。道の両側には横転した車の上に船が乗り上げたまま。一面がれきの山。そんな光景の中、ポツンと普通に営業している飲食店がある。犬を散歩させている人がいる…。現地の人たちに言われた言葉が忘れられないと言います。「写真をたくさん撮って、帰ってから伝えてください。このまま忘れられたら福島は立ち直れません」。同じ被害状況でもメディアに取り上げられるのは、決まった地域だけ。この夏は節電の話題にシフトしまっている…。被災地の事態の深刻さに、何かをしないではいられなくなったといいます。だから、今後も被災地の子どもたちに会いに行くと決心しました。「何がいいのか…」複雑な苦悩を抱えながら…。相馬市には9月10日、『TEAM JAPAN』として2度目の訪問を行います。
 秋には千葉県の被災地・旭市支援のためのイベントを企画しています。陸上競技界の「時の人」を、成田の中台陸上競技場に呼ぶ予定です。「これからもアスリートが社会に何が出来るのかを示していきたい」と熱く決意を語りました。